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大坂なおみ選手の発言から考える「I'm sorry.」の意味

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こんにちは、やまっぺ (@yamappe_png) です。

先日の全米オープンで日本人初の優勝を飾った大坂なおみ選手。

表彰式でのインタビューで口にした「ある言葉」が関心を集めています。

 

 I know everyone was cheering for her and I’m sorry it had to end like this.
訳: みんながセリーナを応援していたのは知っていたので、こんな終わり方になってしまってごめんなさい

この一文が、メディアに大きく取り上げられました。

www.hochi.co.jp

僕はこの記事の"謝罪スピーチ"という表現に違和感を覚えました。

 

これ、謝罪の意味ではないよね?

 

実は、誰もが知ってるフレーズ

I'm sorry.

には主に2つの意味があります。

 1つ目は

謝罪 (例) I'm sorry. It's my fault. 訳:ごめんなさい。私のせいです。

これがよく知られている「ごめんなさい」という意味ですね。

 

2つ目は

残念・同情

例えば

I broke up with my boyfriend last night.
訳: 昨晩、彼氏と別れた。 ※ break up with ~ ~と別れる

I'm sorry. Are you alright?
訳: それは気の毒だね。大丈夫? 

 海外ドラマでありそうな場面ですね。(笑)

この場面では「ごめんなさい」という意味ではなくて

sad (悲しい)に近いようなニュアンスであることがわかります。

ちなみに

「お悔み申し上げます。」も残念・同情の意味で

"I'm sorry for your loss."

といいます。

 

ここでもう一度、なおみ選手の発言を見てみましょう。

 I know everyone was cheering for her and I’m sorry it had to end like this.
訳: みんながセリーナを応援していたのは知っていたので、このような結果になって( ごめんなさい or 残念に思う )

 先ほど説明したように2つの可能性があります。

ごめんなさい or 残念に思う

僕は「残念に思う」だと思ったんです。

なぜなら単純に

常に勝利が求められる一流のアスリートが勝って謝罪するなんて前代未聞だから

I'm sorryの2番目の意味を知らないメディアが間違った訳を報道してしまったのだなとニヤニヤしていました。

すると案の定、知識人による誤訳の指摘がネットニュースで取り上げられていました。

I'm sorry it had to end like this.は「このような終わり方になったことは残念です」であって、謝罪ではない。(sorryという単語が出てくると謝罪だと思うのは間違い。たとえば親しい人を亡くした人に、I'm so sorryというのは普通のことで、悲しみやシンパシーや遺憾の意を表現するのにもsorryは使われる。)テニスの試合の報道でもこのようなことがあるのだから、国際情勢についての報道でどれだけこうしたことがあるのかと思うと、恐ろしい気持ちになる。 出典元:Dot Com Lovers: USオープン ウィリアムズ=大坂 ドラマにみるマイノリティ女性選手の葛藤と連帯

 出典がハワイ大学のアメリカ文化研究者ということもあり、一般の英語話者の、この"I'm sorry."の捉え方は「残念です」の方だよなぁと改めて納得していると...

 

 

記者の一人が

Why did you feel like you needed to apologize?

訳: なぜ謝る必要があると感じたの?

という質問をなおみ選手に投げかけています。

(このことから、アメリカでも彼女のスピーチを謝罪と捉えた人もいるということがわかります。)

その質問に対して

その質問は私の感情をすごい揺さぶるわ。セリーナが24回目のグランドスラムのタイトルを獲りたいのはみんな知ってる。だけど、私はコートに一歩足を踏み入れると、違う人間になるの。セリーナのファンではなくて、ひとりのテニスプレイヤー。でも、(試合が終わって)ネットのところでセリーナと抱き合ったとき、幼いころの自分(セリーナの大ファンだった)に戻ったように感じたから..

 僕はこれを聞いて、大坂なおみ選手は確かに謝罪をしているなと感じました。

しかし、その謝罪は、セリーナの勝利を望んだオーディエンスというよりかは、セリーナを誰よりも応援していた、幼少期の自分、″リトルなおみ″に向けられたものなのではないかなと考えます。

小さいころからの憧れで、ヒーローだったセリーナ。だから彼女が負ける姿なんて見たくない。でも、今、この大舞台で自分が自分のヒーローを打ち破ってしまった。だから「ごめんね。」

20歳という若さで栄冠を勝ち取ってしまったが故の「虚しさ」のようなものが表彰台で彼女を襲ったように見えました。

 

 最後に

ニュースで

この謝罪スピーチは、日本人の心がよく表れている。

大坂なおみの強みである謙虚さ日本の文化で培われた。

などと、賞賛の嵐が巻き起こっていますが、少し違和感を覚えます。

 

なぜなら、表彰式での謝罪は、なおみ選手の「謙虚な心」というよりかは

単純にセリーナ選手に対する強烈な「憧れ」によるものだと思うから。

(もちろん、なおみ選手が謙虚さを持ち合わせているのは事実ですが、)

僕は、幼心を忘れない彼女の「素直さ」に拍手を送りたいです。

そして、賞賛されるべきなのは

「彼女が育った文化や環境」ではなく「彼女の経験」であり、

「彼女自身」だと僕は思います。

 

大坂なおみ選手、全米オープン優勝心からおめでとうございます!

 

おわり!